中国は退職年齢を引き上げる

2024/09/24

    2024年913日、全国人民代表大会常務委員会は「漸進的方式で法定退職年齢の延長を実施することに関する決定」を採択し、「国務院の漸進的方式で法定退職年齢を延長することに関する弁法」(以下「退職年齢延長の新規則」という)を承認しました。「退職年齢延長の新規則」は202511日から施行されます。

    中国現行の退職年齢は1950年代に制定されたもので、社会経済の発展と平均寿命が延びたことに伴い、現行の退職年齢はすでに社会と経済の発展に対応できなくなっており、中国は退職年齢の延長に関する議論を何年も続けてきました。現在、中国の少子化、高齢化はますます深刻になり、出生数と労働人口は減少し続け、社会が高齢者を支えるストレスはますます高まっています。このような背景のもと、中国は多年にわたる検討を経て、退職年齢の延長を最終的に決定しました。

    「退職年齢延長の新規則」の施行に伴って、中国の退職年齢は大幅に調整され、労働者使用にも影響を及ぼすことになりますので、日系企業は十分注意を払う必要があります。

 

   「退職年齢延長の新規則」の主な内容は、次のとおりです。 

(1)漸進的方式で退職年齢を延長する
2025年1月1日から、男性従業員と女性従業員の退職年齢は、次のとおり変更されます。
Ÿ   男性従業員の退職年齢は4か月ごとに1か月延長し、1965年1月から1976年8月生まれの男性従業員につき漸進的方式で退職年齢を延長し、63歳まで漸進的に延長する。
Ÿ   これまで退職年齢が55歳だった女性従業員(管理職)の退職年齢は4か月ごとに1か月延長し、1970年1月から1981年8月生まれのこれまで退職年齢が55歳だった女性従業員(管理職)につき漸進的方式で退職年齢を延長し、58歳まで漸進的に延長する。
Ÿ   これまで退職年齢が50歳だった女性従業員(非管理職)の退職年齢は2か月ごとに1か月延長し、1975年1月から1984年10月生まれのこれまで退職年齢が50歳だった女性従業員(非管理職)につき漸進的方式で退職年齢を延長し、55歳まで漸進的に延長する。
 

(2)養老保険の最低納付年数を漸進的に引き上げる
2030年1月1日から、養老保険の最低納付年数は15年から漸進的に20年まで引き上げ、毎年6か月引き上げられます。具体的な取扱いは、次のとおりです。
Ÿ   2025年から2029年の期間に定年退職となる従業員は、養老保険の最低納付年数を引き続き15年とする。
Ÿ   2030年から2038年の期間に定年退職となる従業員は、養老保険の最低納付年数15年を基準とし、毎年6か月引き上げる。
Ÿ   2039年以降に定年退職となる従業員は、養老保険の最低納付年数を20年とする。
 

(3)弾力的な定年退職制度を実施する

      弾力的な定年退職制度は、次のとおり早期退職と退職延長の2種類が含まれています。

Ÿ   早期退職:従業員は最低納付年数に達したとき、早期退職を弾力的に選択できるが、早期退職時期は最長で3年を超えないものとし、かつ定年退職年齢は新規則が施行される前の原退職年齢を下回ってはならない。
Ÿ   退職延長:従業員は法定退職年齢に達したとき、所属単位が従業員と協議のうえ合意した場合、定年退職を更に延長することができる。ただし、延長期間は最長で3年を超えない。

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