「国家安全機関行政法執行手続規定」が2024年7月1日から施行される

2024/06/20

     2024426日に公布された国家安全部令第3号にもとづき、「国家安全機関行政法執行手続規定」は202471日から施行されます。「国家安全機関行政法執行手続規定」は計7140条からなり、国家安全機関が行政法執行を展開する際の手続に対して詳細な規定を設けており、このうち比較的関心を集めているのは第3章「調査証拠収集」の第4節「検査」における電子設備検査に関する内容となっており、これについて下記①~④の通り紹介いたします。

補足すべき点として、「環球時報」が6月11日に報道した内容によると、国家安全機関の幹部がインタビューを受けた際に次のように表明しています。(1)検査の前提は、反スパイ業務または任務を法にしたがって遂行することでなければならず、反スパイ業務または任務と無関係であれば、国家安全機関の職員は無断で恣意に検査することができない。また、(2)検査対象は、必ず反スパイ業務と「関係のある個人または組織」であり、例えば軍が管理する立ち入り禁止区域、国家機密にかかわる組織体などを盗撮したスパイ行為の嫌疑がある者であって、無関係の者を検査対象とすることはなく、「普通入境人員」(一般入国者)を検査対象とすることはできない。
①.   電子機器の検査を実施する際は、区を設ける市級以上の国家安全機関責任者の承認を要する
「国家安全機関行政法執行手続規定」第40条によると、国家安全機関は、個人または組織の電子機器、設備および関係するプログラム、ツールに対する検査を実施するとき、区を設ける市級以上の国家安全機関責任者の承認を得て、検査通知書を作成しなければなりません。しかし、緊急時において、直ちに検査する必要性がある場合、区を設ける市級以上の国家安全機関責任者の承認を得たうえで、法執行官が人民警察証または捜査証を提示したとき、その場で検査を実施することができます。
②.   電子機器の検査を実施する際は、被検査者または証人の立ち会いを要する
「国家安全機関行政法執行手続規定」第41条によると、検査時には、被検査者または証人が立ち会いのもと、電子データの真実性、完全性を保持するよう注意し、電子機器、設備および関係するプログラム、ツールを不必要に損壊してはなりません。
③.   電子機器の検査を実施する地点について明確な規定を設ける
「国家安全機関行政法執行手続規定」第42条によると、検査業務の必要に応じて、国家安全機関は電子機器、設備および関係するプログラム、ツールが使用、保管される地点、場所で検査を実施することができます。その場で検査することが難しい場合、担当部門責任者の承認を得たうえで、被検査者が電子機器、設備を国家安全機関の指定する地点まで運んで検査を実施するか、または被検査者の同意を得たうえで、国家安全機関が電子機器、設備を指定の地点まで運んで検査を実施することもできます。また、検査を実施する際は検査記録を作成しなければなりません。
④.   国家安全機関法執行官は、電子機器の検査を実施する際に人民警察証または捜査証の提示を要する
「国家安全機関行政法執行手続規定」第45条によると、国家安全機関法執行官は、法により任務を執行する際に、関係者の身分を聴取する必要がある場合、人民警察証または捜査証を提示したうえで、中国公民または境外人員(日本人を含む)の身分証明書を検査することができます。身分が明らかではないか、国家の安全に危害を及ぼす疑いがある者に対して、人民警察証または捜査証を提示したうえで、その持ち物を検査することができます。身分証明書には、居住者身分証、戸籍謄本、運転免許証、出入国証明書およびその他中国公民または境外人員の身分を証明することができる各種証明書が含まれます。

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