「関税法」が2024年4月26日に採択される

2024/05/24
「関税法」は全国人民代表大会常務委員会によって2024年4月26日に採択され、2024年12月1日から施行されます。関税とは貨物の輸出入および輸入品を徴税対象とし、税関が輸出入段階において徴収する租税をいいます。現行有効な関税にかかわる特別規定は国務院が制定し、かつ2017年3月1日に改正した「輸出入関税条例」となります。この「輸出入関税条例」と比較し、「関税法」がもたらす次の重大な変化は、注目に値します。
 
1)税関は3年間納税義務者、源泉徴収義務者の課税額を確認し、追徴する権限が明文化
「輸出入関税条例」第51条に基づき、輸出入貨物を通関させた後に、税関が関税徴収額の不足や徴収漏れを発見した場合、規定違反行為によらず税金の過少納付または徴収漏れとなった納税義務者につき、関税を納税した日、あるいは貨物が通関した日から起算して1以内に、納税義務者から追徴しなければなりません。これに対して「関税法」第45条は「納税義務者、源泉徴収義務者が税金を納付または貨物を通関した日から3間、税関は納税者、源泉徴収義務者の課税額に対し確認する権利を有する。税関の確認した課税額が納税者、源泉徴収義務者の申告した税金と一致しない場合、税関は納税義務者、源泉徴収義務者に税額確認書を発行する。納税義務者、源泉徴収義務者は税額確認書に記載の課税額にもとづき、税関の定める期限までに税金を追納するか、税還付手続きを行わなければならない。」と定めています。したがって、「関税法」の実施後、税関が規定違反行為によらず税金の過少納付または徴収漏れとなった納税義務者が税金を追納する期限は1年から3年に延長されました。これは納税義務者にとって不利な変更となります。
 
2)納税義務者が納付過多の税金を還付請求する期限は3年に延長される
「輸出入関税条例」第52条は「納税義務者が多く納税したことを発見した場合、納税日から起算して1以内に、書面にて税関に多く納税した税額ならびに銀行の同期間の当座預金利息を加算して払い戻しを請求することができる」と定めています。これに対して「関税法」第51条は「納税義務者は、税金の納付過多を見つけた場合、税金を納付した日から3間、税関に納付過多の税金還付を書面申請することができる。」と定めています。したがって、納税義務者が税関に納付過多の税金を還付請求する期限は1年から3年に延長されました。これは納税義務者にとって有利な変更となります。
 
3)納税義務者の未納に対する「出境制限」「引き落とし金額通知」措置が新設される
「関税法」第49条第2項は「納税義務者が税金、滞納金を未納しかつ税関に担保を提供していない場合、直属税関長またはその授権された税関支署長による認可を経て、税関は規定にもとづき移民管理機構が納税義務者またはその法定代表者に対し法により出境制限措置を講じる旨を通知することができる。」と定めています。また、第50条は「納税義務者、源泉徴収義務者が規定の期限までに税金を納付しないか、または代理納付されない場合、税関がそれに期間を限り納付するよう命じる。期間を徒過してなお納付せずかつ正当な理由がない場合、直属税関署長またはその授権された管轄税関署長による認可を経て、税関は次にかかげる強制執行措置を講じることができる。(1)銀行業金融機関に書面通知のうえ納税義務者、源泉徴収義務者の課税額に相当する金額の預金、振込金を引き落とすこと……」と定めています。税金未納者に対する「出境制限」、「引き落とし金額通知」は「関税法」で新たに設けられた管理措置であり、「輸出入関税条例」はこれに類する規定がありませんでした。これらの措置は納付すべき税額を滞納している納税義務者にとって非常に大きな抑止力となります。
 
(注記:上記の内容は「関税法」による全ての変更を網羅しているわけではないことにご注意ください。)

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